ゆるゆるにっき。

趣味でゆるっとセキュリティやっています。

「超入門デジタルセキュリティ」を読みました

こんにちは、霜月です。

中谷昇さんの書かれた「超入門デジタルセキュリティ」が面白かったので、感想をまとめてみたいと思います!ご興味ある方は是非どうぞ〜m(o・ω・o)m


※過度なネタバレは避けて、あくまで個人の感想と印象に残った箇所をまとめていきます

 

 

どんな本?

こちらの本は、サイバーセキュリティにおけるリアルな国際情勢を元インターポール所属の著者の視点から分かりやすく解説している本です。

 

昨今、経済安保が話題となっていたり、日中・日露の関係性についてもシビアな議論がなされています。また、日本では2022年に警察庁の中にサイバー局が創設され、サイバーセキュリティの体制も強化する方針を出しています。私もサイバーセキュリティに関わる仕事をしている身として、国の動向は日々追っていますが、果たして世界から見た日本はどう映っているのか?そんなことがよくわかる本でした。

 

以下、あらすじです。

「インターネット空間がここ数年、加速度的に公共空間化し、社会のインフラとなった現状では、こうしたデジタル分野をめぐる緊張関係が、国際情勢にも暗い影を落としている。中国の電子機器大手ファーウェイの安全性について、米中が激しく対立したのはその典型である。そんな状況の中で、韓国のハイテク大手サムソンがスマホ市場で漁夫の利を得るなど、デジタルをめぐる国際的な経済活動で、生き馬の目を抜く競争が続けられている。
そんな情勢の中で、日本はどう戦っていくべきなのか」

 

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面白すぎて、2周連続して読んでしまいました(笑)

 

因みに、目次はこんな感じです。

  • まえがき
  • 第1章:デジタルセキュリティ 何が問題なのか
  • 第2章:世界のデジタルデータ勢力図と日本
  • 第3章:日本に迫るサイバー危機 デジタルセキュリティの現在地
  • 第4章:私と「デジタルセキュリティ」
  • 第5章:ハイテクニカル・デジタルデータ覇権
  • あとがき

 

印象に残ったエピソード

全体を通して非常に面白くて夢中で読んでしまったのですが、特に興味深かったエピソードをいくつかピックアップしてみます。

 

各国のセキュリティ情勢

当然、国によって法律や考え方、国民性は違うのですが、その結果としてセキュリティに対する取り組みも異なるようです。

例えば顔認証。アメリカやシンガポールやイギリスでは顔認証技術が優れており、警察は監視カメラから得られたデータを活用し、民間企業のサポートを受けて捜査をしているとのこと。日本でもNECのシステムが評価されているとのこと。

一方で、プライバシーとのトレードオフであると言われています。日本ではこの辺りの議論があまり進んでいないとのことです。

他には、ドイツでは、犯罪捜査で容疑者のPCに監視ソフトを送り込むことができるそうなのですが、アメリカでは、犯人の使っているスマホのロックを解除することができないようです。

こういった、国によるセキュリティの違いが数多く紹介されておりとても面白いと感じました。過去に話題となったスノーデンの暴露の話にも触れられています。

 

インターポールでの日本の存在

非常に面白いと感じたのは、インターポールでの日本の発言力です。国際機関は基本的に、世界各国でお金を出し合って運営しているものですが、なんと日本はインタポール加盟国の中で2番目に多く分担金を支払っているそうです。

組織への金銭的な貢献度が大きい=発言力や影響度も大きくなる。当たり前ですが、なるほどなあと思いました(自分の税金がこういうところでも使われているんだなあとしみじみ)。

その為、日本からインターポールに派遣される人はもっと強気に主張をすべきなのですが、その辺りはやはり日本人は得意ではないようです。一方で、中国と韓国は自国を売り込むのがとても上手いようです。国際機関で働くときには、他国から一目置いてもらわないと国益を得ることができないとのこと。。。

 

インターポールでの働き方

とても感慨深いと感じたのは、著者がインターポールに務めていた際、霞ヶ関流の働き方をしていたら事務総長に指摘をされたということです。先程のお話にも通じるのですが、所謂、ザ・日本人的な仕事のやり方(周りの空気を読んで同調したり、イエスマンになったり)をしていたら、「君に意見はないのか?」と言われたとのこと。これは正直、グローバルで仕事をしている人からしたら共感できる話ではないでしょうか?私も似たような経験があり、意見をしなかったらいないのと同じ、というような空気を日々感じていたので共感の嵐でした。。。

この辺りのエピソードは、インターポールだからというよりは、日本人がグローバルで働くときのあるある話?という感覚で、1人頷きながら読んでました。

とは言いつつ、職場の人と仲良くすることが大事なのは一緒で、日本では飲み会やタバコ部屋でのコミュニケーションで仕事が決定するのと同じように、結局は根回しが必要な世界です。この辺りのエピソードも面白かったです。

 

最後に

この本は、サイバー×日本×インターポール×著者の人生、を詰め込んだ本でした。繰り返しになりますが、非常に面白くて一気読みでした。

著者も書いている通り、インターポールと聞くとルパンの銭形警部のイメージを持ってましたが、アニメの世界の話ではなく、とても現実的な話を知ることができました。著者が警察に入った理由として「正義感」を大切にしていたからという理由もとても素敵です(なんだかんだ銭形警部っぽい?)。

 

読んでいて、なんだかとても日本を感じた本でした。けれど、サイバーの世界で日本が今後どう動いていくべきなのか、とても考えさせられました。

 

是非、気になった方は読んでみてくださいませm(o・ω・o)m